右田病院100周年記念誌
34/40

100年の歩み| 100年の歩み49とが重要であり、必要な場合は専門病院や中核病院へつなぐことも当院の地域医療における役割と考えています。また、一定の治療を終えた患者さんを身体状態・生活環境に応じて慢性期病院や居宅、介護施設に紹介するなど、早期の退院を図れるように支援していきます。今後は、診療所、救急病院、専門病院、中核病院、慢性期病院、そして精神科病院が密な連携を組むことで、地域住民に対する医療が、点から線、線から面となるよう、地域の一員として貢献できるように努力してまいります。」 新病院は、救急医療を中心に据えながら高齢者救急を積極的に受け入れて、のちに厚生労働省が提唱する地域包括ケアシステムへの貢献を目指す方向で動き始めたのです。病院の新築移転とほぼ同時期に、隣接地には株式会社シルバービレッジ経営の介護付き有料老人ホーム「シルバービレッジ八王子」(入所規模142名)がオープンしました。右田病院では計画段階から業務提携をし、入居者の在宅診療を行いつつ、急変時の救急対応から看取りまでを担うことになります。 法人管理局の設置 事業所が暁町と本町の2か所に分離したことで、事業所統括運営を目指し、興和会に法人管理局を設置しました。小規模な事業体ゆえに、運営の効率化を図るためです。法人管理局では、法人資産の整備に乗り出します。本町に残った旧病院の跡地は法人所有地とし、八王子医師会の新会館建設地として提供しました。残りの借地は、戦前からの懸案事項でしたが、地権者のご厚意により一部を等価交換の折衝がまとまり、法人所有地として確保できました。 次世代に向けた体制作りへ 常務理事として法人経営に携わっていた右田敦之が、2015(平成27)年4月に第7代理事長に就任しました。右田徹は85歳になり、本格的に世代交代に取りかかることにしたのです。非医師の医療法人理事長の就任には、自治体知事の特例認可が必要となるため、非常に多くの資料の提出と厳格な審査が求められました。同年3月に東京都知事の理事長選任特例認可後、4月、右田徹は名誉理事長(法人内理事)に就任、敦之が理事会の承認を得て理事長に就任、それと同時に常務理事の後任は右田隆之に決定します。 これからの医療は、同族だけに頼って経営を支えていくことは難しいと考え、同族外の理事や幹部も登用する方針としました。 右田健診クリニックの今後の拡張には、乳がん検診を柱とした女性特化型の良さを生かす展開が望まれるため、乳腺外科専門医の鴨宣之先生を、2018(平成30)年6月の評議員会、理事会において理事に選任しました。さらに、法人内のシステム構築、財務会計に寄与した菊地晶紀も法人管理局長として、理事に登用しました。 病棟再編、しかし医療の本質は変わらない 国が高齢社会への対応として掲げる地域包括ケアシステムに寄与するために、病床の機能転換も考えなければならない時期がきていました。「救急の右田」の歴史を持つ右田病院にとって、許可病床数82床と小規模であるがゆえに、病床を再編することは簡単ではありません。しかし、地域医療構想のもとで患者さんの在宅医療の後方支援暁町の高台に完成した新病院新病院建築工事の地鎮祭

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る